当市場の食堂街に4月にオープンしたCalorie & Oilyは子ども食堂を通じて地域貢献をしたいという想いからお店の企画がスタートしたそうです。
私たち埼玉県魚市場も新鮮な魚介類を地域(埼玉)の皆様にお届けすることを使命としている点で、地域への想いは共通するものがあります。
8月となり、小学生を中心とした子供たちの来店が多く予想される夏休みをむかえた現在、オープンしてからのお店の状況やこれからの展望について、Calorie & Oilyを運営する株式会社ヤマショウフーズの石原マネージャーに弊社代表取締役・鈴木がお話しをお聞きしてきました。

【鈴木】
お店のメニューを拝見してCalorie & Oilyという個性的な店名は頷けたのですが、子ども食堂というのは正直驚きました。
まず、子ども食堂を始めるに至った経緯を教えてください。

【石原マネージャー】
Calorie & Oily「大人も子供も、いろんな人たちにおなかいっぱいになってもらいたい」という想いから、スタートしました。
おいしい食事から笑顔の輪が広がるお店を作るのが私たちの目標です。
子ども食堂に取り組むのはこの想いからです。

【鈴木】
子ども食堂の活動は全国各地で広がっていると聞きますが、私たちが子供のころは地域で子供を育てるという感じがありました。
地域の繋がりが希薄となりつつある現在、このお店を通じてどのように地域の方たちにアプローチ(地域貢献)をされようとしているのでしょうか。

【石原マネージャー】
まずは子供たちにおなかいっぱい食べて笑顔になってもらいたいというのが1番です。
ですが、市場で子ども食堂を開くのであれば、それだけでは物足りないような気がしています。
どうせなら、市場内だけでなく、地域のお店の方々にも協力を仰ぎつつ、
勉強会や、食育などを教えていただけるようなイベントを通じて地域の大人と子供との接点を作っていきたいと考えています。

【鈴木】
長らく市場にいると子ども食堂を市場に作るという発想は思いつきません。
市場の有り方が多様化する中にあって、市場の開設者、卸売業者という業態の性質上、
地域(消費者)の皆様と直接触れあう機会が少ない弊社にとって、市場を地域の方たちが集まれる場所にするということは浮かんできませんでした。

【石原マネージャー】
それは、卸売市場はプロが集う場所という概念に基づくものから来ているのだと思います。
実際、卸売市場の本質はそうあるべきでしょう。
ですが、先程あった市場の多様化ということから考えると、まずは人を集めるということが活気ある市場の原点になるのではないでしょうか。
大宮に限らず、市場の活性化はほぼ全ての卸売市場の課題だと思います。
ですから市場活性化へのアプローチが多様化しても面白いのかもしれません。
お互いの業態の違いを尊重したうえで、我々はお子様への食事の提供からスタートして、今後はイベントなどを実施し集客につなげていきたいと考えています。

【鈴木】
お店がオープンしてから4ヶ月に入ろうとしています。
市場で子ども食堂というのはなかなか浸透しにくいと思っているのですが、お店を運営されての実感というのはいかがですか。

【石原マネージャー】
やはり、どうしても平日はランチにいらっしゃるサラリーマンの方のご利用が多いです。
ただ、ゴールデンウィーク前後を境に近所の少年スポーツ団の子供たちが来店してくれる機会が増えてきました。
夏休みですので、もっと多くの小学生の利用をお待ちしています。
また、今後は来てくれた子供たちへ市場についても身近に感じてくれるような企画を考えていきたいと考えています。
その一環として、夏季講習と称して店内に夏休みの宿題が出来る場所を設けたり、ミニ縁日を企画しました。

【鈴木】
魚を食べることは日本人の伝統的な食文化です。
魚で商売をする私たちとしては子供たちにその文化の担い手になってもらいたいと願っています。
そのためにもまずは、「市場に来てもらう」、「市場に興味を持ってもらう」ことは非常に意義のあることだと考えています。
最後となりますが、市場活性化のテーマの一つに魚食普及と食育が挙げられると思っているのですが、
「魚市場が取り組むべき食育とは何か」意見をお聞かせください。

【石原マネージャー】
お子様を対象に市場見学の機会を増やすことを提案します。
どんな魚がどんなところから届いているかなど簡単な話が聞ける機会を作れれば良いなと思いますし、
それが埼玉県魚市場の目指す「消費者の姿が見える市場・何でもできる市場」にも繋がっていくのではないでしょうか。