カツオは年に2回、旬を迎え、時期によって味が変わります。

1回目は春から夏にかけての「初ガツオ」の時期、2回目は9月に三陸沖で水揚げされる「戻りガツオ」の時期です。

初ガツオは冬から春にかけて黒潮にのり、春から夏にかけて北上していきます。

その為、水揚げされる時期は3月から4月頃は「九州沖」、4月から6月頃は「本州沖」、7月から9月頃は「三陸海岸沖」と各地区で異なります。

 

脂身よりも赤身が多く、さっぱりとした味わいが特徴の初ガツオですが、江戸っ子が「初ガツオは女房を質に入れてでも食べたい」と言っていたほど美味しいです。表面を炙ってたっぷりの薬味と共にたたきで食べるのがオススメです。

 

では、何故この時期のカツオが珍重されるのでしょう?

それは「初物」を貴重なものとして尊ぶ江戸庶民の気質が基となっています。

「初物」にこだわる理由は昔から初物を食べると寿命が伸びる福を呼ぶと考えられており、縁起が良いとされていたからです。また、旬の力で体調が整うこと先取りをするのが粋だと考えられていました。

 

「初物」には「初物を食べる時は○○を向いて笑え」という言葉がありますが、これは地域によって異なります。

を向いて笑うのは主に関西。これは太陽が昇る方向の為、日頃の恵みに感謝するという意味があるそうです。

逆に西を向いて笑うのは関東阿弥陀様が西にいらっしゃる為、感謝の気持ちを表しているという説もあるそうです。

どちらにしても初物を食べられる幸せを喜び、感謝することに変わりはありませんね。

 

近年では日本全国から通年で食材が入手出来る為、「旬」や「初物」の感覚が薄れていると思われますが、春から初夏にかけての今、旬の初ガツオを笑って堪能してみてはいかがでしょうか。